賢者は今も主を求める
- 2024年12月22日
- 読了時間: 8分

「賢者は今も主を求める」
マタイによる福音書2:1-12
ルカによる福音書2:8-20
説教者:Mark Bartsch牧師
神戸ユニオン教会
2024年12月22日
そこで、わたしのこれらの言葉を聞いて行う者は皆、岩の上に自分の家を建てた賢い人に
似ている。 雨が降り、川があふれ、風が吹いてその家を襲っても、倒れなかった。岩を土
台としていたからである。[ マタイによる福音書 7:24-25 ]
イエスがお生まれになった時、一つの光が空に現れ、ベツレヘムの上で明るく輝きました
。暗闇の中でその光は明るく輝き、何千キロも離れた学者たちの目を引きました。そして
東方のその学者たちと野にいた羊飼いたちをイエスの所に導きました。一方は裕福で高い
教育を受けた博士、もう一方は貧しく無学な羊飼いというまったく異なるグループが、謎
を解明するために出発しました。どちらのグループもメシアを求めていました。彼らの旅
は、「神は社会的地位や経歴に関係なく、常に人をご自分の方へ引き寄せておられる」と
いう重要な真実を明らかにしています。
今日は対照的な彼らの二つの旅について考えてみます。そこから私たちは、今自分が座っ
ている場所から立ち上がって、神に従うために行動を起こすにはどうしたらよいかを学び
ます。「主を求める」とは、単に頭で考えたり、感じたりするものだけではありません。
主の呼びかけに対する積極的な応答、つまり行動が伴うのです。
博士たちの旅
この賢者たちはMagi、または東方の三博士とも呼ばれ、おそらくペルシャかバビロンとい
った東の方からやって来ました。彼らは星を研究し、その意味を解釈する占星術の学者で
した。特別な星を見て偉大な王が生まれたと知り、行動を起こしました。その幼子を見つ
けるために、快適な学者の日常を捨てて何か月もかかる旅に出たのです。博士たちは深い
象徴的意味を持つ、黄金、乳香、没薬という贈り物を携えて行きました。その象徴するも
のは以下の通りです。
・黄金:イエスの王権、清らかさ、罪なきご性質を表します。Ⅱコリント5:21に、「罪と
何のかかわりもない方を、神はわたしたちのために罪となさいました。わたしたちはその
方によって神の義を得ることができたのです」とある通りです。
・乳香:神性およびイエスが私たちの大祭司である役割を象徴します。乳香は神を礼拝す
る際に使用されました。ヘブライ4:14-16では大祭司について次のように言っています。「
わたしたちには、もろもろの天を通過された偉大な大祭司、神の子イエスが与えられてい
るのですから……」。
・没薬:イエスの苦悩と犠牲を予感させます。没薬は遺体の防腐処置に使われていました
。イエスの十字架での死を示唆しています。
しるしを見たら行動する
博士たちはしるしを見て行動に移しました。ここでみなさん、自分自身のことを考えてみ
てください。神があなたに働かれたら、すぐに行動しますか。または明日にしようと言っ
て、今日はソファに座ったままですか。使徒言行録8章で、フィリポがエチオピア人の宦官
に福音を伝えた時、宦官はすぐに、「洗礼を受けるのに、何か妨げがあるでしょうか」と
言って馬車から降りました (8:36)。フィリポはただちに彼に洗礼を授けました。20分
後でもその午後でもなく、すぐに行ないました。
幼子を見つけるための博士の旅は容易ではありませんでした。どこに行けばよいのかわか
りませんでした。ヘロデ王の所に立ち寄ったために、その後ヘロデは残虐な計画を立てま
した。単刀直入に言うと、博士たちは素朴な羊飼いたちもしないような、賢明といえない
失敗を犯しました。邪悪なヘロデ王と話をしてはならないと、ユダヤでは誰もが知ってい
ました。
博士がヘロデの所に立ち寄ったのと同様に、私たちの信仰の旅路にも回り道や中断があり
ます。先週の説教では、ヨセフの人生がどのように中断されたかを話しました。人生には
回り道があります。しかし神の御言葉、祈り、聖霊の導きに従うと、神は私たちを目的地
へ連れて行ってくださいます。重要なのは自分の意志です。他の人がそうするから自分も
真似るのではなく、私たちはイエスに従うと自分で決めて、行動を起こさなければなりま
せん。
私は次の歌が大好きです。
"I have decided to follow Jesus,
I have decided to follow Jesus,
I have decided to follow Jesus,
No turning back. No turning back."
(私はイエスに従うと決めた もう後戻りはしない)
羊飼いたちの旅
一方、羊飼いたちはまったく異なる状況にありました。おそらく貧しく若かった彼らは羊
を見張る夜番の仕事をしていました。この身分の低い羊飼いたちに天使が現れ、「恐れる
な。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる」と言いました。
羊飼いたちは躊躇せず、ベツレヘムへ急ぎました。星を追った賢者たちと違い、羊飼いた
ちは神から直接招きを受け、黄金も乳香も贈り物は何も持たず、身ひとつで行きました。
身ひとつですぐに行動すること。これこそ神が私たちに求めているものです。
大学時代、BYOB(Bring Your Own Beverage)パーティー、つまり「飲み物を自分で持って
いく」パーティーがありましたが、信仰の世界ではBYOS(Bring Your Own Self)、つまり
何も持たず身ひとつで行くのです。
それで羊飼いたちは幼子イエスに会いに行き、神を崇め賛美しながら野に帰りました。こ
の羊飼いの例から、神の呼びかけの対象は富を持つ者や教育のある者に限るものではない
とわかります。神は私たちが今置かれている状況の中で話しかけてくださいます。
対比としてのヘロデ王
一方ヘロデ王はどうだったでしょうか。ヘロデ王もイエス誕生を知りました。博士たちが
エルサレムに立ち寄り、「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられます
か」(マタイ2:2)と尋ねた時、ヘロデは喜ばず、星を追わず、それどころか脅威を感じて
不安になりました。
ヘロデは自分の権力に執着していました。自分の王位を守るためイエスを殺そうと計画し
、ベツレヘムの罪のない子どもたちを虐殺するよう命じました。ヘロデは博士や羊飼いと
正反対の存在です。博士と羊飼いはメシアを求めましたが、ヘロデは支配を求めました。
彼らが礼拝と贈り物を捧げたのに対し、ヘロデは自身の権力を追求しました。恐れと高慢
によってヘロデには真実が見えませんでした。
神のしるしを無視するのは常に危険が伴うと、私たちはヘロデの例から知ることができま
す。
正しい応答は礼拝すること
博士も羊飼いもイエスを礼拝しました。礼拝とは、主を求め、主を賛美し、全身全霊で自
分を捧げる行為です。ヘロデが礼拝を拒んだ結果、平和ではなく破壊がもたらされました
。
4人目の博士
私の好きな物語の一つに、ヘンリー・ヴァン・ダイクの著書『もう一人の博士』がありま
す。主人公アルタバンは他の3人の博士たちと一緒に出発するはずでしたが、思いやりの行
いによって遅れてしまいました。遅れて出発したアルタバンはイエスを見つける旅をしな
がら、自分の財宝を使って他者を助け、奴隷を解放し、人の命を救いました。しかし幼子
イエスに会うことはできず、イエスを何十年も探し続けてやっとたどり着いたのは、イエ
スの十字架刑の時でした。アルタバンは王イエスを讃える機会を逃したと嘆きましたが、
神は彼にこう告げました。「この最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたこ
となのである」。
イエスを求める行為というのは、イエスを見つけることだけでなく、イエスのために生き
る、つまり他者を愛し、イエスの模範に従うことでもあると、アルタバンの物語は教えて
くれます。
どうすれば賢くなれるか
私たちには追いかける星はありませんが、イエス・キリストという導きの光があります。
今日、イエスを求める方法は次の通りです。
1. 謙虚に主を求める
「ひれ伏して幼子を拝み、宝の箱を開けて、……贈り物として献げた」(マタイ
2:11)。この博士のようになりましょう。
2. 信仰と従順をもって応答する
「さあ、ベツレヘムへ行こう。主が知らせてくださったその出来事を見ようでは
ないか」(ルカ2:15)と話し合った羊飼いたちのようになりましょう。また、「
御言葉を行う人になりなさい。自分を欺いて、聞くだけで終わる者になってはい
けません」(ヤコブ1:22)。
3. 犠牲の精神で生きる
「神をあがめ、賛美しながら帰って行った」(ルカ2:20)羊飼いのようになりま
しょう。また、「自分の体を神に喜ばれる聖なる生けるいけにえとして献げなさ
い。これこそ、あなたがたのなすべき礼拝です」(ローマ12:1)。
腰を上げる
神に従うというのは、行動することであると博士と羊飼いの物語は教えてくれます。もし
かしたらあなたは今までソファにじっと座ったままで、神の呼びかけに応じる完璧な瞬間
を待っていたかもしれません。今こそ立ち上がって神に従いましょう。博士のように最善
を尽くしてください。羊飼いのように身ひとつで出発してください。アルタバンのように
神の愛を反映する人生を送ってください。
賢者は今でも神を求めます。さてあなたはどうですか。
問いかけ:
1.最近あなたの人生において、どのような神の御業のしるしに気がつきましたか。それに
対してどのように応答しましたか。
2.博士と羊飼いは、見たこと、聞いたことに基づいて行動を起こしました。今日神があな
たに呼びかけている信仰の第一歩は何ですか。
3.イエスに対するヘロデの反応は、恐れと高慢に突き動かされていました。あなたの人生
にも恐れと高慢から神への完全な服従を妨げている部分がありますか。
4.羊飼いはイエスのもとへ何も持たずに身ひとつで行きました。あなたは本当の自分の姿
をどのように神に捧げ、今持っているもので礼拝しますか。
5.博士、羊飼い、アルタバンの例に倣い、今週どのような犠牲的な生き方ができますか。
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